対談 お初天神裏参道×前田デザイン室、異色のコラボレーションプロジェクトの軌跡

お初天神裏参道担当 吉本草彦と前田デザイン室代表 前田高志が、コラボレーションに至るきっかけから、ウラサンプロジェクトのフィナーレまでの軌跡を振り返ります。

吉本草彦 お初天神裏参道担当者 x 前田高志 株式会社NASU代表取締役、前田デザイン室代表

ウラサンプロジェクトは、オンラインサロンが地域のプロモーションに関わることができるチャンス

前田さんに伺います。電通さんの取り組みから着想を得たとのことですが、それを前田デザイン室でやろうと思うに至った心境などお聞かせください。

普通に考えたら飲食しかも街づくりに近い地域のプロモーションって、絶対に楽しいんですよ。 しかもオンラインサロンがそれをやるって、挑戦したことないはずだから未知の領域じゃないですか。 それってなかなか得られない経験、チャンスです。仕事としてやってもよかったけれど、サロンでやらせてもらえるってさらにすごい。サロンでいい意味で肩の力を抜いた状態で、こんな大きなことをやらせてもらえるってことはクリエイターにとっては大きな喜びです。僕にとっては間違いなくそう。

あまりにも嬉しかったから、この話が進むたびに前田デザイン室のFBにすぐ投稿した気がする。だけど反応があまりなくて(笑)。

たぶんその時点ではウラサンのことを知っている人もまだ少なかったし、そもそも僕の投稿の仕方もよくないというかイメージしずらかったんだと思う。こんなに楽しいことなのに!だからちょっと拗ねて「誰もやらないなら俺やるよ」ってコメント書いた気がする(笑)。

(前田デザイン室のFacebook投稿の一部)

ウラサンプロジェクトを始めた頃って、ちょうど雑誌『マエボン』をサロンで出版したあとで、僕的にも波に乗っていました。マエボンのプロジェクトなみにに大きなことをもう一つ、いや、もう二つくらいプロジェクト立ち上げた方が盛り上がるのかな?くらいに当時は思っていました。

でもいざやってみたら、マエボンの販促イベントは続くし、他のコラボのお声がけもあったし、僕が装丁の仕事をさせてもらったことで、そのコラボも、サロンでの出版第2弾NASU本の制作もあった。だから一時期はサロン内でプロジェクトが多すぎて大変でした。

でもそんな中でもウラサンチームメンバーは、コツコツと毎週ミーティングを重ねて地道にプロジェクトを育ててくれていました。すごいことですよ、もう9ヶ月以上続けてくれていますからね。

感謝祭からリニューアルオープン…のはずが鉄不足でピンチに

「ウラサンで遊べ」のコンセプトが決まりプロジェクトが動き出しました。前田デザイン室のアウトプットとして最初に出たのは、毎年3月の周年を記念して作ったTシャツですか?

そうですね。Tシャツはこちらから依頼しました。毎年ウラサンの創立記念日にやっている感謝祭というイベントがあって、ステッカーやポスターも作っていただきましたね。

(4周年の感謝祭を記念して作ったポスターとステッカー)

あれは確か…Tシャツの案をコンペで募集して60案以上も集まった結果、塚田くんのデザインが採用になった。ウラサンがちょうどリニューアル工事をしている時だったから、ドット絵のキャラクターが工事をしているところのデザインなんだよね。ポケモンにロケット団ってキャラクターがいるじゃないですか。だから「ウラサンをリニューアルするべく登場した組織ウラサン団ってどう?」って僕が言った気がする。

(4周年の感謝祭を記念して作ったウラサン団Tシャツ)

それをみんなが楽しんでくれて、ウラサン団のキャラクターをどんどん増やしてくれました。最初は工事しているキャラクターだけだったけど、のちにお店ごとのキャラクターまで生まれたので、吉本くんから最初依頼されていた「料理の擬人化」の部分にもつながりました。吉本くんの交友範囲が広いので、このウラサンTシャツをいろいろな方に着てもらったり受け取ってもらうことができました。

当初は6月末に予定されていた新店舗を含むリニューアルオープンに向けて、パンフレットをはじめとするアウトプットを予定していました。ところが、鉄不足により新店舗の工事が遅れるというピンチに陥るも、鉄不足キャンペーンポスターを展開。そして2018年秋から始まったウラサンと前田デザイン室とのコラボは8月3日の夏祭りでフィナーレを迎えます。このプロジェクトを振り返ってみていかがでしょうか?

前田デザイン室として、こんな大舞台は初めての経験です。プロジェクトの期間も一番長いですしね。仕事のようでそうじゃない。ここでの経験は、僕も参加メンバーも大きいと思いますよ。

このプロジェクトのおかげで、前田デザイン室が新聞に掲載されたり、ウラサンの街並みに前田デザイン室メンバーがデザインしたポスターが貼られたり。仕事だったとしてもなかなかできないことですよ。だからこの機会をいただけて本当にありがたいことです。

長期に渡るプロジェクトをずっと回していたのは、ウラサンチーム特にコアメンバーなのですが、前田さんもコンセプトやアウトプットの段階でディレクションで関わって来られました。その視点で大変だったことはありますか?

思っていたよりも随分長引いたことかな。モチベーションを維持するのが難しかったはずだから。毎週定例打ち合わせをしているメンバーに申し訳ないと。ただもうこれはどうしようもないことだったからね。

だから大変だった…実際に大変だったのはウラサンチームメンバーだと思うよ。僕が大変と言うのはおこがましいくらい。でももちろんFacebookやDiscordは見ていたし僕なりに見守ってはきました。

吉本さんにも伺います。オンラインサロンという未知のチームとコラボした今回の取り組みを振り返って感じたことをお聞きしたいです。大変だったことなど。

大変というか、前田さんがおっしゃった通り時期のことですね。街づくりって長期プロジェクトなので、1年や2年かかることなんてざら。もっとかかることもある。建物を立てて店を誘致する…長期スパンで考えることなんですよね。かたやオンラインサロンは、1ヶ月単位で人が入れ替わるチーム。その制約下でやってもらっているのに、なかなか時期がうまくあわせられない歯がゆさがありました。

今年3月の感謝祭は一緒に盛り上がることができてよかったけれど、あくまで2期のリニューアルオープンへの助走と考えていました。2期のリニューアルオープンに向けての盛り上がりを前田デザイン室のみなさんと一緒に楽しめたらよかったのですが、鉄不足で時期が伸びるなどなかなか思うようにいかず。みなさんは、そのピンチすらも「鉄不足キャンペーン」というポスターで士気を保とうとしてくれていました。

(鉄不足キャンペーンポスター)

街づくりという観点で考えたら、時期が伸びることはよくあるんです。でも前田デザイン室を巻き込んでしまっている以上申し訳ないなと。

僕も前田デザイン室に1ヶ月間体験入会し、ウラサンチームのやりとりを見ていましたから。ウラサン側の店の人間とはまた違った意味合いでのすごい熱量を肌身で感じました。それなのにうまく合わせられなくて。そこが申し訳なかったです。

コラボレーションのフィナーレは8月3日ウラサン夏祭り!

このあとの動きについてお伺いしたいです。前田デザイン室的な視点、お初天神裏参道としての視点どちらでもいいです。まず吉本さんから。

裏参道はこれからもあり続けるものなので。これからも今まで通り続けていくんだと思います。こんな風に誰かと出会ってその出会いをきっかけでコラボしたりもするかもしれない。インバウンドがどうこうとか僕は特別考えてないんです。海外のお客さんを特別呼びたいとかね。まずは地元の人に100%いや、120%楽しんでもらえるようにしたい。そうすればその盛り上がりを見た人が来てくれるかなと。

よく「世界一」とか言う人もいますが、そういうのも僕は特に意識していなくて。裏参道がみんなが楽しめて日常に溶け込める存在でありたいです。自然と歴史を積み重ねられたらいいなと。

8月3日の夏祭りでプロジェクトとしては区切りを迎えますが、もちろん今回の前田さん、前田デザイン室さんとのご縁も大事にしたいです。前田デザイン室はどうですか?ターゲットやコンセプトの話を聞きたいです。

人が増えたら増えたで楽しいんだろうけどね。前田デザイン室の定員がすごい勢いで満室になる時期もあったんですよ。だけどその時から定員自体は増やしてないです。150人がマックスのまま。それは「入ってみたけどよくわからない、よくわからないからやめた」という人がいるみたいで、申し訳なく感じたから。150名でもいるなら、それ以上増やしても、そういう人が増えるだけじゃないかなと。一般的にそれって150人が限界だと言われているんですよね。

ウラサンも同じです。常に満員というより、ファンになってくれる人が増やしていいきたいんです。

それはオンラインサロンのプロジェクトも同じことが言えそうですね。前田デザイン室と裏参道は価値観が近いことがよくわかりました。元々吉本さんが前田さんの価値観に惹かれて声をかけて始まったからというのもあるでしょうね。

そうですね。だからここって思った時に行動したらこうなってました。最初にメッセージを送ったところからはじまって、次は前田さんを誘い、その次に食事へ誘ってくれた時に行ってみた。行動して運と縁が重なってこのコラボレーションに繋がったんだと思います。

8月3日は、コラボレーションの集大成です。ウラサンとしても夏祭りは初の試みになります。提灯をつって、お盆感を出してヨーヨー釣りでもしたらどうかなと考えています。 ぜひ一緒に楽しみましょう。

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